2022年06月05日(日)準備

[ エリザベス女王、「次世代」に公務継承準備 ] 英国のエリザベス女王(96)の在位70年を
祝う一連の祝賀行事「プラチナ・ジュビリー」が5日、最終日を迎えた。主要行事では、
存命中の君主として世界最高齢である女王の欠席が目立った。健康状態が懸念される中、
女王は王位継承順位1位の長男チャールズ皇太子(73)に重要な公務を引き継ぐ準備を
進めているようだ。5日は、英各地の国民が路上でパーティーをして70年を祝う
「ビッグ・ジュビリー・ランチ」などが開催された。ロンドン市民の男性(38)は
「主要行事で女王の姿を多く見られなかったが、女王に感謝の気持ちを示す素晴らしい
機会となった」と語った。主要行事初日の2日、女王はバッキンガム宮殿のバルコニーに
姿を現したものの、体調への負担を軽減するためにパレードの参加を見送った。
セントポール大聖堂で3日に執り行われた女王の治世をたたえる感謝礼拝も
「時折生じる歩行上の問題」のため欠席。ロンドン郊外のウィンザー城からテレビ中継を
見守ったとされる。多くの主要行事が「主役不在」のまま行われる中、女王が今後も
多忙な公務を継続できるかが注目されている。過去に「生涯を国民にささげる」と誓った女王は
生前退位を行う予定はないものの、皇太子の王位継承に向けた下地を着実に作っていると
みられている。一例として、女王は5月10日、英議会での政府施政方針演説を欠席し、
皇太子が代理を務めた。立憲君主制の英国では、政府が作成した施政方針を、
君主である女王が読み上げて議会の新会期を開会する。女王が演説を見送るのは
1963年以来とされる。英紙タイムズは、体調の悪化が懸念される女王が、
皇太子の王位継承が近づいていることを国民に印象付けるため、皇太子の代理を
「意識的に決断した」との王室有力筋の見方を紹介。皇太子がすでに、
女王が日常的に受け取っている政府関連書類にも目を通しているとした。
また、英BBC放送によると、カナダをはじめ、かつての植民地など50カ国以上が加盟する
国家連合「コモンウェルス(英連邦)」の首脳はすでに、同連合の元首を務める女王の地位を
皇太子が将来的に継承する方針を決定した。女王の強い意向が働いたとみられている。
一方、女王ほど幅広い世代に支持されていない皇太子が、王室を率いられるかを疑問視する
声もある。英調査会社ユーガブが5月初旬に発表した世論調査で「皇太子が女王の後に
王位を継承すべきだ」と回答したのはわずか3割ほどだった。不人気の要因は、
97年に事故死したダイアナ元皇太子妃との離婚をめぐる経緯だ。皇太子とカミラ現夫人(74)との
不倫関係が離婚の最大の要因と考える市民は多く、皇太子らへの風当たりはいまだに強い。
皇太子が国王に即位する際に、夫人に「王妃」の称号を与えることに反発する意見も根強い。
君主制の維持を支持しない国民も増える中、王室の専門家は「皇太子が国民の信頼を
勝ち得るかが王室の未来を左右する」とした。(産経 2022/6/5 20:06)

2022年06月05日(日)20時14分49秒