[ 「よりもい」聖地の喫茶店 あす閉店 ] 群馬県館林市を舞台にしたアニメ「宇宙(そら)よりも遠い場所
(通称・よりもい)」で主人公らが利用するカフェのモデルになった喫茶店「カフェ・ド・スタール」が、
11日の営業を最後に閉店する。東武館林駅前にあり、同アニメのファンや地元の人に
親しまれてきたが、店主の前田貴章さん(59)が体調を崩して店に立てなくなり、閉店を決めた。
代わりに営業を続けてきた妻の美代子さん(45)は「地元だけでなく全国からも来てくれて、
感謝の気持ちでいっぱい」と話している。貴章さんが従業員として働いていた店を引き継ぎ、
2013年にオープンした。店名は美代子さんが好きなロシアの画家、ニコラ・ド・スタールから名付けた。
ホットドッグ(650円)やカレーライス(850円)が看板メニューで、駅利用者や地元の人たちに愛された。
18年にテレビ放送が始まった「よりもい」に同店が登場して“聖地”に。
作中で主人公の幼なじみが座る席が人気を集めたほか、同時期に店で提供したプリン(200円)が
主人公の好物と偶然重なり、ファンの間で話題になるなど交流が続いていた。
新型コロナウイルス感染拡大を受けて休業していた9月末ごろ、貴章さんが脳出血で倒れて入院し、
後遺症から再び店に立つことは難しくなった。急きょ10月から、美代子さんが友人らの助けを得ながら
ランチ営業を始めたが、年内での閉店は決めていたという。「全国から来てくれたよりもいファンに感謝している」と
美代子さん。店は知人が年明けから新しいカフェを開業する予定。店の雰囲気やファンの聖地として
引き継ぐ考えを示してくれているとして、「人が集まる温かくて大事な場所が続いてくれたら」と
話した。(上毛新聞 2021年12月10日 6時00分)