[ 女性閣僚3割、高市氏除く3氏賛成 ] 自民党総裁選(29日投開票)のゴングは党改革とともに
鳴った。8月26日にいち早く出馬表明した岸田文雄前政調会長は、総裁を除く党役員の任期を
連続3期3年までとすることを打ち出した。岸田氏本人は否定したが、5年以上にわたり
党ナンバー2の座を占める二階俊博幹事長が標的であることは明白だった。
岸田氏は、二階氏と派閥間の衆院選挙区の候補者調整で対立する関係にもある。
二階氏を後ろ盾とする菅義偉(すが・よしひで)首相の党運営に異を唱える狙いも
あったとみられる。首相は党役員人事で二階氏の交代を決断するが、劣勢を挽回する
見通しが立たず、9月3日に総裁選への出馬断念を表明する。岸田氏が権力闘争の
一環として仕掛けた党改革は宙に浮き、総裁選では主要争点とは言い難いのが現状だ。
岸田氏の党改革が首相と二階氏に対する乾坤一擲の挑発だったとすれば、
河野太郎ワクチン担当相の場合は意図せざる反発を招いた挑発だった。
「(党の)部会でギャーギャー言っているよりも副大臣、政務官チームを非公式に
作ったらどうか」河野氏は21日に衆院当選3回以下の自民党議員でつくる
「党風一新の会」との意見交換会でこう言い放ち、「与党(の役割)は首相指名まで」とも
語った。与党の政策立案機能を否定する発言と受け止められ、党内からは「極めて失礼」
(佐藤正久外交部会長)などと批判が相次いだ。河野氏は結局、24日に「不適切で取り消したい」と
発言撤回に追い込まれた。ただ、河野氏が取り消したのは「ギャーギャー言っているよりも…」という
発言で、「政高党低」を是認する考え方までは撤回していない。政府と与党の関係をめぐる
議論は深まっていない。一方、今回の総裁選では高市早苗前総務相と野田聖子幹事長代行の
女性2人が出馬し、総裁選の歴史上初めて候補の半分が女性となった。
しかし、女性の活躍をめぐる両氏の姿勢は対照的だ。野田氏は国会議員の男女比を5対5と
することを目指し、各選挙区の候補者選考委員会ではメンバーの3割以上を女性とするよう求めている。
閣僚の半分は女性を選び、官房長官と幹事長にも女性を登用する考えを示した。
河野氏は地方議会での産休制度整備の後押し、岸田氏は党女性局の重視などをそれぞれ掲げる。
これに対し、高市氏は自然体の構えだ。17日のフジテレビ番組では、女性閣僚を3割以上にする考えに
4候補の中でただ一人反対し、国政選挙の候補の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」に関しても
「法の下の平等とか、別の問題が出てくる」と否定的に語った。例外が多い衆院比例代表候補の
73歳定年制の厳格適用に関しても、高市氏のみが慎重姿勢を示している。20日の討論会では
「国民政党として全世代の安心感を創出するという意味では、(定年を)何歳にするかというのは
慎重に考えなければいけない」といなした。(産経 2021/9/28 19:51)