[ 群馬県、独自のワクチン接種証明書導入 ] 群馬県は13日、新型コロナウイルスのワクチン接種
証明書を独自に導入すると発表した。証明書の提示などを前提に、県内での宿泊料や
日帰りツアー代として県民1人あたり最大5000円を補助する「愛郷ぐんまプロジェクト」
第3弾などの経済対策に乗り出す。コロナ専用病床のさらなる確保など、医療提供体制の
強化も同時に盛り込んだ総額490億8654万円の9月一般会計補正予算案を21日開会の
第3回定例県議会に提出する。9月補正予算案としては平成以降で最大規模となる。
【妹尾直道、菊池陽南子】臨時記者会見した山本一太知事によると、接種証明書の名称は
「県版ワクチンパス(仮称)」。県公式LINEアカウントを活用して導入する。
10月にも県民の8割が2回のワクチン接種を完了することを見据え、山本知事は
「群馬だからこそワクチンパスを使った試みができる。早くやればやるほど経済回復が
早まる」と導入のメリットを強調した。県内では県民の約7割が1回目接種を終えている。
県は今後、愛郷ぐんまプロジェクトなどの県の事業以外にも、市町村や民間企業にも
活用できる場面を広げる方針だ。愛郷ぐんまプロジェクトは昨年6〜7月と今年3〜4月に続く
第3弾で、2回のワクチン接種完了者らを対象に、宿泊55万人分、日帰りツアー4万5000人分の
利用を想定する。また、現在販売停止中の政府の飲食店支援策「GoToイート」の
食事券も接種完了者を対象にプレミアム率を従来より5%上乗せし、1万3000円相当を
1万円で16万冊発売する。両事業ともワクチン接種状況や感染状況などを踏まえながら、
10月上旬から中旬の開始を目指す。一方、ワクチン接種者への特典は、未接種者への
不利益や差別につながる恐れもある。山本知事はPCR検査での陰性証明などの
代替措置を示し、「ワクチンを打てない方への配慮をしながらバランス良く進めていきたい」と
話した。9月一般会計補正予算案には、経済対策と同時に医療提供体制を強化するための
費用として310億6350万円が盛り込まれた。コロナ専用病床は現状の472床から
80床増やして552床を確保し、宿泊療養施設は現状の5ホテル6棟(1319室)から
7ホテル8棟(1650室)への拡充を目指す。また、新治療法を促進するため、
鼻に差し込んだ管から多量の酸素を送り込む「ネーザルハイフロー療法」を導入する費用を
医療機関に全額補助(上限100万円)する。宿泊療養施設には、夜間に投薬治療や
酸素投与が行える酸素ステーションを設置。学校関係では、県立学校83校と私立学校が
PCR検査キットを導入するための費用を計上した。山本知事は「まずは感染拡大をしっかりと
押さえ込むことに全力を尽くしたい。その上で社会活動を再開させるなど、県民の皆さんに
少しでも希望を感じてもらえるよう頑張りたい」と話した。(毎日 2021/9/14 12:15)