[ 東武東上線の新駅「ホンダ寄居前」 ] 東武東上線の18年ぶりとなる新駅「みなみ寄居駅」
(埼玉県寄居町)が開業した。本田技研工業(ホンダ)の寄居工場に隣接し、副駅名は
「ホンダ寄居前」。ホンダが従業員の利便向上などを図るため東武鉄道に開設を要望し、
設置費用をホンダが全額負担することで開業に至った。鉄道、自動車というライバル同士の
「協業」ともいえる異例の新駅だ。みなみ寄居駅は東武竹沢駅と男衾駅の間に位置し、
1日当たり上下計約100本が停車する。寄居工場の従業員が駅から直接入ることができる
渡り廊下も設けた。ホンダと東武鉄道とは平成29年に駅設置に関する協議を始め、
昨年6月に開業が決まった。ライバルともいえる東武鉄道にホンダが協力を持ちかけた背景には、
周辺の交通渋滞への懸念があった。寄居工場は完成車を作る工場で、約3千人の
従業員が働いている。狭山工場(埼玉県狭山市)からの生産移管が進められているため、
今後も従業員は増加する見込みだ。マイカー通勤者が増えれば周辺の交通渋滞の
深刻化は避けられない。ホンダ社内では「『ホンダのせいで渋滞がひどくなった』となれば
地域に受け入れられなくなる」と企業イメージへの影響を心配する声が強まっていた。
ホンダは寄居工場を「ものづくりの顔」と位置づけていく構えだ。グループの技術者らが
国内外から訪れることに備える観点からも、工場に隣接する駅ができるメリットは大きい。
東武鉄道側も「ホンダの関係者に利用してもらえる上、地域の利便性向上につながる」と
期待を寄せている。(産経 2020.11.2 19:38)