2020年09月29日(火)旅路

いい加減そろそろ足を運んでみるか。以前からそういう計画は練っていたがなかなか実行にまでは移せず。

それでもいよいよ機が熟した。午前6時台に出発。そして高崎駅に到着。

高崎駅でみどりの窓口の近くに並ぶ「指定席券売機」で新幹線の切符を購入。
東口の近くに存在している新幹線の自動改札に切符を通して自動改札を通過。

「久しぶりの新幹線だな」「久しく乗っていなかった北陸新幹線に乗れるんだ」

そうした印象を内部に張りめぐらせた自分の身体が階段を登ってホームを歩く。
新幹線の到着待ちの列で待ち、やがて新幹線「はくたか」が東京方面から入線。

高崎駅で乗降を行う「はくたか」の自由席は1号車から5号車まで。
新幹線の窓を見る限り自由席はほぼ満席。しかし高崎で降りようとする乗客も多数。

高崎で乗客の大半が入れ替わるので自由席でも座席は確保可能。
「4号車」の自由席に身を預けた自分を乗せてはくたかのドアが閉まる。

高崎駅を出発。山間の風景の中を進み山の度合いが色濃くなる。
やがてはくたかはトンネルに入る。窓から見える暗闇と身体に掛かる気圧。

安中榛名駅は通過。軽井沢駅で停車。現在の軽井沢駅の周りは霧の中。
やがて発車したのち車内放送のチャイムが流れた所で降りるための準備に入る。

「まもなく佐久平です。小海線はお乗り換えです」

車内放送を耳にした自分は「本当にここまで来たのか(来てしまったのか)」と思う。

「来なければよかった」と
「いよいよ自分の目的地が近づいてきたんだな」とした印象の両方が波のように押し寄せる。

はくたかが所定の停車位置にゆっくりと合わせてやがて静止。しばらくしてドアが開く。
予めデッキに居た自分は自分の足を前に出して新幹線から身を出してホームに足を預ける。

ドアを閉めて出発する新幹線。見送ってから周囲を撮影し他の乗客から遅ればせながら
改札への階段を登って新幹線の改札に切符を通して通過する。

ついに到着。「はるばるきたぜ長野県」。

これからの計画に沿う切符は指定席券売機で先に購入する。

「佐久平−臼田」「中込−佐久平」「佐久平−三岡」の乗車券3枚を購入。

指定席券売機ではクレジットカード払いを受け付けてくれるので積極的に活用する。
多少なりともポイント還元の恩恵を受けられる。もっと指定席券売機が
あちこちの駅に導入されたら便利なのに。そう思いながら乗車券を購入して大切にしまう。

指定席券売機では任意の駅を発駅とした普通乗車券が購入可能。
駅名を五十音より選択して指定する形式で選択を行う形式での購入が可能。

お札を崩す事で硬貨が増えて重くなる事がない点の利便性も合わせて実感。

購入後は蓼科口から出て「北斗の拳」のマンホールを眺める。1ヶ所だけ撮影。
原作者の武論尊さんの出身地がここ佐久市。自治体とコラボした結果の産物。

非常に珍しい物を見ている事を実感。

蓼科口から階段を登って駅構内に。小海線のホームへの長い通路を歩く。

新幹線が地上。小海線が高架。在来線が高架を独占する構図はやはり珍しい。
そう思いつつ長い通路を通って引き戸を開けて小海線の高架ホームに到着。

やがて小諸方面から気動車が入線。

「これは珍しい」

八高線で走っている形式の気動車が入線するかと思っていたが
数編成しか存在していないハイブリッド型の気動車に遭遇。

結構な混雑ではあるが乗れない事もない。乗車して出発進行。

走りながら地上へと降りて岩村田駅に停車。やはり佐久平駅からの距離が1km程度と近い。

北中込、滑津、中込と停車。中込駅ではワンマン化の乗務員交代が行われる。
駅員の常駐していない無人駅がこの先の臼田方面では多く存在しているので
乗車時に整理券を取って降車時に車内で清算する方式に変化。

「自分が利用する路線ではあまり見ない方式を見るのは面白い」

再び走り始めた車内の窓に広がるのは「迫る山々」と「黄色い田園」。
群馬の田んぼはまだ黄緑色の状態も、この地域だと刈り入れ時を知らせる色がそよいでいる。

そしてとにかく山が近い。山があるのではなく山が距離を詰めてこちらに迫ってくるとした印象。

佐久市の市街地を走る印象が中込駅までは存在していたが
臼田方面に入ったあたりから田園と山間と集落に眺めが変わる。

太田部、龍岡城と停車。やがて臼田駅に停車。自分はここで降りる事に決めている。

臼田駅で下車。

気動車の出発前に構内踏み切りが鳴り、降車したお客様が階段を並んで待つ。
気動車の出発後に構内踏み切りが開き、降車したお客様が階段を歩き始める。

改札で切符を出して改札を抜け駅の出入り口を写真に収めてから歩を進める。

山間の風景は歩いているだけでも楽しいがあまりにも「駅前の割に何もない」印象が先に来る。

しかしその印象は駅から離れた橋を渡り国道141号に出た所で霧散した。

それまでの「のどかな風景」に商業施設が点在する様相が混ざり出す。
セブンイレブンが見え、埼玉資本のしまむらグループの店舗が連なっている場所に印象を変える。

臼田駅から少し離れた場所では異なる光景を目撃できた。

大規模な道路の歩道を歩いて風景を楽しむ。ケーヨーデイツーの手前まで歩いて引き返す。
今回の目的のひとつツルヤまで向かう。そして到着。開店まで入り口でしばらく待つ事に。

長野県にしか出店していないツルヤが今年の秋に群馬県に初出店。

ベイシア帝国と言ってもいい群馬県に出店してくる事を知った時には驚いた。
どの様なスーパーマーケットなのか。その事を探るための計画を今回の訪問に盛り込んだ。

開店時間となったので先に並ばれていた地元民のあとに続いて入店。
手指を消毒してかごを持つ。まずは店内の売り場構成を確認。

惣菜パンの棚が入口の近くに存在。その少し先には牛乳などの乳製品が並んでいる。
乳製品は長野県に関連した地名が踊る。地元資本ならではの商品陳列。

「信州八ヶ岳 野辺山 低温殺菌牛乳」は群馬のスーパーでは見た事がない。
「長野のお米を炊いて作ったおにぎり」も群馬のスーパーでは見た事がない。

多額の買い物をしようという気にはなれないが、それでもしっかりと食べておかないと身が持たない。

牛乳とコロッケを購入。店内で飲食。おいしいね。
来てみてよかった買ってよかった。

やがて開店する群馬県での店舗でもひとつお世話になる。そう確信する行動だった。

ツルヤを後にして更にある程度歩く。神社のある小さいお山へ向かう。

ロケットの形をした展望台は「コスモタワー」なる名称。

長い階段を登り山の中の坂を登って結構歩いてようやくタワーの入口に到着。
タワーの中の階段をぐるぐると登り陽が差してきた所で最初の展望台に到着。

最初の展望台からの景色に感嘆の声を上げ再度の階段でさらに上の展望台へ。
再び暗くなった階段を登って再び陽が差してきた所で更に上の展望台に到着。

東西南北で異なる景色を見ながら流れる千曲川や中部横断自動車道を眺める。

群馬では見られない風景、群馬とは異なる風景、そして群馬と似ている風景。
本当に自分は長野県の一部にやってきたのかと思わせる風景が目の前に広がる。

例えばこの地域の住民が見聞きして育ってきた事と自分が見聞きしてきた事は大きく異なる。
そうした地元民が貼り出した学習向きの教材を思わせる説明資料に目を通しながら
先ほど登った長い階段を今度は下ってコスモタワーの外に出る。

出てからは長い滑り台を堪能して山を降りてバス停のある道に歩いて向かう。
佐久市の循環バスで中込駅まで向かいそこの周囲で昼食を取るという計画。

土休日だと循環バスが乗りたい時間帯に来ない。平日休みだからこそ可能な計画。

循環バスには「北斗の拳」のラッピングバスも存在。先ほど臼田駅から離れていく道を歩いた最中に
そのラッピングバスを目撃。この風景には溶け込めない異質なバスにはやはり驚いた。

ただその組み合わせはここでしか見られない物。「貴重な異質」とした感想を持った。

歩いて循環バスのバス停に到着。しばし待ってからバスが到着。やって来たのは普通のバス。
乗車して出発。バスの中からの眺めは「プルーンが売られている露店」。

「りんごはわかるけどプルーン?」と思い車中で携帯を引っ張り出して検索。
「プルーンの生産も行われる地域でしたか、不勉強なので存じませんでした」

そんな風に理解した自分は中込駅でお金を払ってバスを降りる。歩いて飲食店へ移動。
中込駅前にある「三河屋食堂」でお昼をとる事に決めていたのでここで降車。

「佐久では鯉料理が盛んらしい」
『鯉料理っすか……』

広島東洋カープのファンの自分に「鯉料理」とかいうある意味では水と油。

なんていうかある程度濃いめの抵抗を受ける。

「鯉のあらい」…?

お刺身に似た食べ方で出される鯉料理が実はあるらしい。

2018年まで現役だった新井選手の名字と読み方が重複するなら食べてもいいか。

謎の思考が発生したので鯉を食してみる事に決定。

無論「初めて」の経験。

入店する前に近くにあるうすだ鯉店の店先で泳ぐ鯉の群れを眺めてから入店。
元気よく泳いでいるね。たぶん君たちの仲間を食べちゃう事になるから今のうちに謝っておくね。

入店して鯉のあらいを注文。先に頂いた温かい緑茶とすごしてテレビを見ているうちに到着。

「これが『鯉のあらい』か…」

見た目はお刺身。氷水の上に重なって乗せられた鯉に箸を伸ばす。

食べてみた時の食感は少し硬め。噛みながら柔らかくして飲み込む事を繰り返す。
そこまで美味しいという感嘆を受ける事はないが今まで鯉は食べた事がなかったので

「これが『鯉の味』かぁ…」と知識を重ねる様な趣で平らげる。

会計を済ませてお店を出て中込の駅前に戻り予め購入しておいた切符でホームに入る。

小海線の小諸方面に向かう列車がちょうどいい頃合いに入線。
佐久平で降りる事も考えたが途中の岩村田で降りるという計画に変更。

岩村田駅で降りて歩き始める。途中では佐久長聖高校の左側を通って今度の目的地に到着。

「佐久市って何があるんですか?」
『何もないです…あ、おそばがおいしいかも』

そう伺っていたのでおそばを求めて「治助」のおそば屋さんへ。到着した店内でもりそばを注文。

しばし待ったのちにもりそばが登場。早速いただきます。

のどごしがさっぱりしていてするすると食べられる。つゆの濃さも濃すぎず
かと言って薄すぎる事もなく。好きな味付けと食感に箸が進みわさびに悶絶。

あっさりと完食してそば湯も飲み干してごちそうさまでしたと手を合わせる。

お会計を済ませてしばらく歩いていると大通りの左手側にミスタードーナツ。
ミスタードーナツの外装が一昔前の黄色とオレンジの色合いに珍しいと思う。
以前はこの配色が一般的だったが最近はほとんど見ていなかったので珍しい。

そうした内容を思考しながらケーズデンキ佐久平店に到着。

これまでは綿密な計画を実行していたがここからはそこまでの計画は立てず。
ある程度歩き回っていたので小休憩を挟む。テレビ売り場のソファーに座る。
リモコンでチャンネルを変えてテレビの右上に表示されるのはやはり地元局。

画面上に現れた「テレビ信州」「長野放送」の局名に長野県にいる事を実感。

小休憩を挟んで出発。途中SBCハウジングパークの横を通りすぎていく。
そしてスーパーモール佐久平に到着。ベイシアが展開するモール事業の一種。

ベイシアは年代によってさまざまな名称をショッピングモールにつけてきたが
1990年代後半の初期の名称として採用した「スーパーモール」の名称をつけているのは
伊勢崎と佐久平の2ヶ所だけ。今回佐久平の方に足を運んだ事で両方を踏破。

食品売場と衣料品売場で別の建物。そこがスーパーモールいせさきとは異なる。

まずは衣料品売場へ。一通り見て回ってから食品売場の建物の方へと向かう。
どちらの売場も群馬県内のベイシアと雰囲気はあまり変わらないという印象。
その後カインズの建物にも足を運び群馬県内の店舗と似た雰囲気に少し安堵。

カインズを出てからは歩いてイオンモール佐久平に向かう。

ベイシアとイオンという本社所在地の異なる別ベクトルの商業施設が至近距離で覇を競う。
他の地域ではなかなか見られないこの光景に楽しさを感じつつイオンモール佐久平へ。

到着して看板を近くで見るとかつて存在していたJUSCO(ジャスコ)の文字を消した痕跡が。

浅間ウイング東口から入店。店内を散策してエスカレーターで二階へ向かう。

二階のテレビ売場に置いてあったテレビの裏側を使ってチャンネルを変える。
その地域のテレビ局を見ると「はるばるとやって来たんだなぁ」と実感する。

信越放送を数分眺めて終了。チャンネルを元に戻してテレビ売場を離れて歩き出す。

二階も散策し一旦外に出る。今度は蓼科ウイング東口から入店して店舗内へ。
お土産の購入も検討したが「別の場所で確保した方がいいのかな」と考える。

イオンモール佐久平に入居しているテナントは群馬や東京にも存在している
マクドナルドやケンタッキーといった店舗が目立つが地元資本のテナントの存在が
自分がいるのは群馬や東京ではない事を改めて印象づけさせる。

イオンモール佐久平の外に出て佐久平駅の方に向かう。
蓼科口の階段を登って「プラザ佐久」に入店。

小海線の到着時刻を考えると滞在している時間はあまりないがお土産を探す。
売店でお土産を探すが自分にあうお土産がなかなか見つからずに時間が迫る。

「何か〜 何か自分にあうものはないか〜」

半ば焦りながら探している。りんごジュースも考えたがビンに入っているので持ち運びがしづらい。

お土産は諦めようか?という考えもよぎる。
そんな状態で自分が売場を探し回っていると気になったものを発見。

「鯉ぐるま」?

地元の和菓子屋によるお菓子が目に入る。「これはお土産にちょうどいい」。
そう思い手に取って購入。鯉(恋)なので「番(つがい)」として二つ購入。

「本当にいいものを見つける事ができた」

そう思って少し急ぎ目に歩いて小海線の乗り場に到着。きちんと間に合った。
行きと帰りで乗車経路を変える事にしている。今度は反対の小諸行きに乗車。

中佐都、美里と停車して出発した車両が三岡駅に停車。自分はここで降りる。
切符を出して駅を出て案内に沿いつつ歩いて向かう先はしなの鉄道の平原駅。

本当にこの道でいいのかな?と思わせる細い道を通って開けた景色の場所へ。
本当にこの道でよかったー!と思いつつ残りの道を歩き平原駅の場所に到着。

乗車証明を発行する機械のボタンを押して紙を出す。電車賃は軽井沢で清算。
しばらく過ごしていると電車が来た。乗車して進行方向右側を確保して出発。

山の中を登りつつ山に囲まれた地域を進み途中の駅を挟んで軽井沢駅に到着。
車内から出るとひんやりとした空気に包まれた事を実感。軽井沢駅にて清算。

JRの軽井沢駅の方に向かい指定席券売機で「横川−高崎」間の乗車券を購入。
駅舎の南側にはアウトレットも存在していたが今回立ち寄るまでには至らず。
駅舎を撮影して駅舎の北側にある階段を降りて歩いて停車中のJRバスに乗車。

軽井沢駅と横川駅を結ぶ連絡バスに乗車。

前払いの料金を支払って席を確保。数分後に発車。天候の影響で薄暗い中を
ひた走るバスの中から国道18号の左右に見えた絶景に驚きつつ移動を行う。

国道18号から見上げる上信越自動車道の高架を支える大アーチは迫力満点。

山の中を走るというよりも山に沿って山を降りていく感覚で横川駅前に到着。
購入していた切符を自動改札に通してホームに入りやってきた信越線に乗車。
発車してからは松井田町だった地域を通り安中市を通過して終点の高崎駅へ。

ここまで来ると「自分の中の日常」の生活圏にある程度戻ってきたという印象が沸き立った。

ひとつ心の中で大きく息を吐いた様な印象を持って帰宅。

2020年09月29日(火)21時56分08秒