[ 他球団スコアラーが広島・長野チョー警戒 ] 赤チョーノが初日から全開だ。1日、広島のキャンプが
宮崎・日南でスタート。注目はなんといっても巨人から移籍した長野久義外野手(34)だ。
昨年を300人上回る1600人のファンと大報道陣が詰め掛けて天福球場は大フィーバーとなったが、
ネット裏で目を光らせていたのがライバル球団のスコアラー軍団。007は赤ヘルの背番号5を
どう見ているのか――。長野は午前8時過ぎ、車で球場入り。テレビカメラ20台、約150人の
報道陣が視線を注ぐ中、練習の初めに円陣の中央であいさつ。チーム全員に「今日からシーズンが
始まります。日本一に向けて頑張りましょう」と呼び掛けると「野球以外のことは何でも答えられると
思います。聞いてください!」と声を張り上げて笑いを誘った。練習はベテラン扱いで別メニュー。
長野は「打撃コーチの方も最初は少なめと言ってくださった」と感謝したが、それでも気を張って
いたのだろう。巨人時代のキャンプ初日と比べれば、明らかに体は動いていた。ウオーミングアップ、
守備練習が終わると、ランチ時間には鈴木と特打に登場。ここでようやく上着を脱ぎ、
背番号5のユニホームをお披露目だ。82スイングで柵越えはなかったが、豪快な打球を連発する
鈴木の隣で「中堅から右方向を意識した」とお家芸の流し打ちに徹し、順調な調整を印象付けた。
さらには鈴木と一緒に連続ティー打撃も行い、スタンドのファンから喝采を浴びた。
その後もダッシュで体を追い込み、室内練習場に一人でこもってティー打撃をおかわり。
最後はゲリラサイン会を開催して充実の初日を終えると「疲れました」。それでも顔には爽やかな
笑みが浮かんだ。長野が動けば、ファンも報道陣も動く。一方、他球団のスコアラー軍団も
背番号5の動きを冷静な目で追っていた。今季から広島を担当する阪神・太田スコアラーは
前巨人担当。「誰がどう見ても巨人の主力だった選手なんですから。最注目の選手?当たり前でしょう。
これからじっくり見させてもらいます」と徹底マークを宣言した。他の007も初日のチェックポイントは
長野とその加入効果。セ球団の某スコアラーは「我々からすれば、巨人はなんてことをしてくれたのかと。
丸が抜けてシュンとしていたチームが生き返っちゃったじゃないですか」とフィーバーを横目に半泣きだ。
「それに長野がこれだけ注目されると、他の選手が楽ですよ。背番号が変わった鈴木やルーキーの小園も
練習に集中できる。それだけで大きい」と指摘した。長野自身の成績も上向くと見ている。
「彼の場合、怖いのはけがだけでしょう。広島の厚い外野層なら、体の状況を見て休ませることもできる。
6、7番に置いて気楽に打たせれば、本気で3割打つんじゃないかと思っていますよ」と話した。
実際、化学反応の兆しも見える。長野は「みんなよくバットを振るな、と。いい練習をしているなと
思いました」と初日からカープの練習風景に刺激を受けた様子。ただ「けがなく、
しっかり練習についていけるよう頑張ります」と真面目に意気込んだかと思えば
「なんかこの場、硬くないですか?」と取り囲んだ報道陣を和ませるひと幕も。
こんなムードメーカーぶりもライバルを恐れさせているゆえんだ。(東スポ 2/2)