[ 佐藤哲三氏追い切りチェック 障害効果は前脚 ] 障害効果は前脚にあり!有馬記念
(G1、芝2500メートル、23日=中山)の特別連載「平成最後の夢障害王オジュウの挑戦」で、
元JRA騎手・佐藤哲三(日刊スポーツ評論家)がオジュウチョウサン(牡7、和田正)の最終追い切りを
即日チェック。平地で2戦未勝利だったオジュウチョウサンがグランプリに挑めるまでになった要因を
障害経験に見いだした。全体的に見れば、ダイナミックでいい走りをしています。バランスが良く、
体がよく動いていますね。もしかしたら、これまででもっともいい状態なのかもしれません。
厳しいことを言えば、併走相手に取り付く時の速さに物足りなさを感じました。4コーナー手前で
射程圏に入れて、そこから差を詰めていきましたが、完全に並びかけたのはラスト100メートル付近。
その間、400メートル近くを要しています。ラップは悪くないし併走相手が健闘したこともありますが、
G1となるとスタミナだけではなく瞬間的な速さも要求されるだけに、そのあたりが課題でしょうね。
一方で、よくここまで力をつけたと感心もしています。2歳時にデビューし、障害入りする前に
2戦しましたが11着、8着と苦戦していました。それが前走は1000万特別の南武特別を快勝。
2番手から長くスパートしており、内容も良かったと思います。強くなった要因はやはり障害を
跳んだことでしょうね。飛越によってトモに力がつくのはよく言われることですが、確かに
その要素はあると思います。ただ、それ以上に好影響を与えたのは、飛越後の着地により、
前脚の接地の感覚を覚えたことだと思います。僕がエスポワールシチーでやっていたことと
経緯が似ています。素質を評価していた僕は、まだ未勝利や500万クラスだった3歳夏に
小倉に滞在し、障害コースを使って調整しました。障害の前で止まったり「8の字」を書いたりして、
前脚の使い方を覚え、体幹が安定するようにしました。今でもオジュウチョウサンは少し右前脚の
使い方に癖があります。以前はそれでリズムを崩していたのが、今は他の3本の脚でカバーし
バランスを取れるようになり、スピードを維持できる。それが障害を跳んだ
一番の効果だろうと思っています。G1で戦うのは簡単なことではありませんが、
僕もどのような走りをするか楽しみにしています。(日刊 2018年12月20日 12時00分)