2018年02月27日(火)偉業

[ 設楽悠太、異端の偉業 30キロ以上走らず日本新 ] 行幸通りの石畳に入ってきた設楽の足どりは軽く、
ランニングパンツの裾がリズミカルにはためいた。腕時計に目を落とし、歴史の扉を開けることを確信する。
右人さし指を曇り空に突き立てた。「2時間6分11秒」。26歳は史上最速で42.195キロを駆け抜けた
日本人となった。初めて走り終えてあおむけに倒れた。「限界。課題も反省もない」。持てる全てを絞り出し、
高岡寿成の日本記録を16年ぶりに5秒塗り替えた。この日、風は穏やかで気温6度。良好な気象条件も
味方に先頭集団でレースを運んだ。30キロでペースメーカーが外れた直後、ギアを切り替えたチュンバや
井上に離されかけても、無理はしない。冷静にリズムを刻み直し、38キロ以降にリオデジャネイロ五輪
銀メダリストのリレサ、昨年は敗れた井上ら4人をかわして偉業を成し遂げた。昨年は序盤から積極的に
飛ばして終盤に失速したが、今年は沿道の声援を力に変え、粘り抜いた。中間点通過が、
日本記録の高岡より11秒遅かったのだから、いかに後半、強くなったかが分かる。独自の道を走ってきた。
まず「距離」の捉え方が従来と違う。「練習で40キロ走をやってもマラソンは走れない。30キロ以降は
走力は関係ない。最後は気持ちでいくしかない」。今大会に向けては、一度も30キロ以上を走らず臨んでいた。
その代わりにハーフマラソンなどの実戦に頻繁に出場。「試合の雰囲気を味わってきたのは他の選手との差」。
常に勝負勘を研ぎ澄まし、持ち前のスピードを磨いた。昨秋から使用した厚底シューズもプラスに働き、
レース後の疲労が少なくなったことで、質の高い練習を続けられたという。「今のやり方は間違っていない。
同じ練習をすれば結果は付いてくる」。日本マラソン界の異端児は東京での自信を手に
未踏の道を突き進む。(ブサヨ産経 2018.2.25 23:08)

2018年02月27日(火)03時08分40秒