2018年01月31日(水)部屋

[ 一月場所が終わって ] おかげさまで、このたびは無事に一月場所の全日程を終えることが出来ました。
私ども貴乃花部屋は、貴ノ岩が先場所に引き続き、治療およびリハビリのため休場しましたが、
そのほかの弟子たちは千秋楽まで精いっぱい土俵で闘ってまいりました。もちろん勝負事ですから、
勝ち越した者もいれば、負け越した者もいます。しかし、彼らの相撲は続きます。日々精進し、自分を鍛錬し、
土俵に義理を欠くことなく、これからもともに闘い続けて参ります。

相撲道とは、土俵に上がるということ

鍛錬するということは、本当に地道な作業の繰り返しです。相撲で言えば四股。365日間、
休むことなく左右の足を交互に踏み下ろす。地味です、本当に地味です。
でも、そんな派手さと無縁の繰り返しこそが、鍛えるということだと思います。

相撲では、土俵に上がる際にお辞儀をし、取組を終えたらまたお辞儀で終わります。
型通りの所作を地道に続けることで、勝敗がどのように決しようとも相手を敬う気持ちが
醸成してゆくのです。また、本来相撲は神事であり、日本人が古来大切にして来た相手を慮り、
思いやる気持ちを持った精鋭が、信義を持って上がる場所が土俵なのです。己を鍛え上げた者同士が
土俵に恩義を感じ、ひたすら鍛錬する場所なのです。私は弟子たちに「がんばれ」とはほとんど言いません。
無理をして「がんばる」のではなく、信念を貫くために「踏ん張る」のです。そのために師匠として、道を作って
あげなければなりません。本人を問いただして追い込むのではなく、導いてあげる必要があるのです。

相撲協会の未来

さて、2025年に日本相撲協会は100周年を迎えます。もちろん、その先も相撲は続くわけですが、
私たちは若い世代へ、次世代へ相撲を残して行かなければなりません。改革するのではないのです。
古き良きものを残すために、時代に順応させながら残すのです。親が子へ継ぐ、その子はまた自分の子へ
継がすわけですから、ある意味、協会全体がひとつの家族となるべきだと思っています。

その上で相撲は神事で、相撲協会は公益法人ですから、自分のためではなく、
人のために生涯を過ごすという、元来の日本人としての精神や理念は不可欠です。
そこに一貫性を持つことは相撲界が公益性をもって生き残る上でも大切だと思っています。
相撲は他のスポーツとは位置づけが異なります。相撲は競技であると同時に日本の文化でもあります。
つまり我々は文化の守り人であるということも忘れてはなりません。

相撲ファンのみなさまへ

近い将来、すべての国や民族、文化、言語の壁を超えて、人々の思い思いの気持ちが寄り添い、
その架け橋として相撲がみなさまに役立つよう、これからも自分の役割を邁進していく所存でございます。
今後につきましても、みなさまのご支援ご鞭撻を賜れば幸いに存じます。(貴乃花親方 2018.1.30)

2018年01月31日(水)05時39分55秒